とまどいながら〜wish〜

〜BLなお話です〜

雅紀のお陰で暗記もん、うまくいってる。

先輩の持っているノートを見る。

そのノートには日本史、古代史、世界史

試験範囲の暗記ものが綺麗な文字で

簡潔にまとめられていた。

手間が掛かって大変な作業だってわかる。

あの人はそれだけ先輩を大切に思っているって

このノートが証明していた。

何だかムッとする。

僕だって先輩の為に何かしたい。

先輩の役に立ちたい!

せ、先輩!

先輩?

先輩がキョトンとした。

じゃなくって翔。

翔と呼んで胸がドキンっとなった。

初めて翔って呼べた。

嬉しい。

感動している。

えと、わかんないとこあったら

バシバシ聞いてくだ聞いてくれ!

う、うん。サンキュー。

先輩は数学の教科書を捲って言った。

これ、わかんないんだ。

問題を見てみた。

3年生の問題だけど。

大丈夫。なんとかわかりそうだ。

問題を解き始めると

先輩は僕の隣に移動して来た。

その近さに数学の問題どころではなくなっていく。

い、いけない!

相葉雅紀に負けないぞってところを

先輩に見せなくっちゃ!

えと、ここでXが来て。

うん、わかった。それで?

横目でチラッと先輩を見る。

心拍数が跳ね上がる。

先輩の顔がすぐそこにある。

しかも、時、手が触れ合ったりなんてしてる。

雅紀?

動きが止まった僕の顔を

先輩は覗き込んだ。

いきなり現れた先輩の顔。

先輩の綺麗な、子供みたいに澄んだ瞳が

僕の胸に飛び込んで来た。

心臓がどうにかなるんじゃないかってくらいに

飛び跳ねた。鼓動が忙しない。

先輩の手の平が僕の額に触れた。

雅紀、何か今日、変だぞ?

体の具合悪いのか?

先輩の顔がさっきよりも近づいた!

超至近距離!

キスが出来る距離だった。

顔がかぁっと瞬時に赤くなった。

熱いぞ!やっぱ、熱あるんじゃないのか?

ベッドで休んどくか?

勉強はオレ一人でやっとくし。

先輩がものすごく心配そうな顔をした。

僕は思いっ切り首を横に振った。

ない!まったく全然、熱なんてないでないよ!

冗談じゃない。

先輩との貴重なこの時間。

満喫しなきゃ!

ならいいけど。

先輩はさっき教えた数学の問題を

一生懸命に解いていた。

その一生懸命振りがすごく可愛くって

見惚れてしまう。

先輩は見ていて飽きない。

ずっとずっと見ていたい。

もっといろんな先輩を知りたい。

感じたいんだ。

食後、2時間ほど勉強をした。

時計を見ると10時近くになっていた。

あ〜〜疲れたぁ。

先輩は絨毯の上にごろりと寝転がった。

そろそろ風呂に入ろーぜ。

オレのパジャマあるだろ?

え!?お風呂!?パジャマ!?

オレが今日、泊まりに来るって言ったら

この間忘れたパジャマがあるから

持って来なくっていいって言ってたじゃん。

泊ま!!

胸が弾けた。

先輩が今日泊まる!!

嘘。

ぱ、パジャマどんなのだっけ?

青いストライプ。

はい!持ってきます!!

僕は大急ぎでパジャマを取りに

寝室のクローゼットへと向かった。

続く