コイゴコロ7

まりん、何かいいことあった?

キャベツを切りながらママが言う。

んー、そうかな

お味噌汁のお味噌をときながら、答える。

いい事、なのかな。

くふふ。いい事あったって顔に書いてあるよ

ママがふんわり笑ってこっちを見る。

じゃあ、わざわざ聞かなくてもいいじゃん

サラダのお皿をママに渡しながらそう言ったら、ママがまたくふふって笑う。

だって、まりんから聞きたいもん

言わないもん

えー!

ママが大げさに驚くから、2人で顔を見合わせて、くふふふふって笑う。

玄関のドアが開く音がして、しょーまがリビングに入ってくる。

翔雅、おかえり

しょーま、おかえり

ただいま

小さい声でそう言って、ぷいって向きを変える。

その背中にため息をついた。

もうずっと、あんななのかな

うーん。そうかもしれないね

学校では楽しそうなのに

男のコはそんなもんかなぁ。俺もしょーちゃんも、仕事始めるまではそうだったかも

パパはなんとなく想像つくけど、ママも?

ちょっと、まりん。それ、しょーちゃんに言っちゃダメだよ?

2人で笑っていたら、またドアの開く音がして、今度はパパが帰ってきた。

ただいま。なんか楽しそうだな

パパ、おかえり

あ、しょーちゃん、おかえり

パパがママの背中からハグをして、ママのほっぺたにちゅってキスをする。

ママは少し恥ずかしそうに、でも嬉しそうに微笑んで、こんな時のママはすごく綺麗で可愛くて。

やっぱり、ママに似たかったな

ぼそっと呟いた私を、パパが腕を伸ばして、ぎゅうって抱きしめた。

ちょっと!何すんの!

パパに似てるのが嫌なのか!

嫌とは言ってないじゃん!

離してよ!ってジタバタしていたら、ママがパパの背中をぺしって叩いた。

ほら、しょーちゃん!早く手を洗ってきて?もうすぐご飯できるから!

はぁーい

ぶーって子どもみたいにむくれたパパの背中を見送って、またママと顔を見合わせて、くふふふふって笑った。